九州百山峰

先日、福岡県糸島市にある「二丈岳」と言う山に久しぶりに登りました。お供は山の会の女性2人。平日だったので静かな山歩きができました。

実はこの山に登る前に考えていたことがあったのです。それは山頂にある岩の上でポーズを決めて写真を撮る事でした。

昔々(笑)、私が山登りにのめりこんでいた頃、一冊の山の本と巡り合いました。「九州百山峰」と言う本で、福岡市でお医者さんをされていた渡部智倶人さんと言う方が書かれた本です。当時はまだ山のガイド本的なものはあまりなく、山の情報は山岳会の記録とか先輩たちから聞く話程度でした。日本登山体系と言う本はありましたが九州の情報はほとんど掲載されていませんでした。

「九州百山峰」の内容は、最近の山のガイド本とはまったく違っていました。現在の山の本は、登山口がどこでコース上の目印はどこそこにあって、見どころは〇〇で、コースタイムはどうのこうの・・・。そしてきれいな写真はたくさん載っていて、と言うのが普通ですよね。

「九州百山峰」にもコースの紹介は掲載されていますが、どちらかと言うと、深田久弥氏の「日本百名山」のスタイルに近いものではないかと思います。その山の歴史とかそこに住む人たちと山の関係とか、著者が山で感じたことなどが書かれています。深田久弥氏の「日本百名山」が山のガイド本だと思っている人はいないとは思いますが、「九州百山峰」も、どちらか言うと読み物とガイドブックの中間にあるような、そんな「読み物」ではないかと私は思っています。

その「九州百山峰」の著者の渡部氏とはその後懇意にさせていただく機会を得て、山の話をいろいろとさせていただきました。その話の中に「九州百山峰」の初版本の表紙の御自身の写真の話が出てきたことがあり、二丈岳の岩の上で撮ったという話をお聞きした記憶がありました。

今回、そのことを思い出し、岩の上で自分の写真を撮ろうと思っていました。幸いなことに、本の表紙の写真のような青空の下の写真を撮ることができ、先生と交流があった30年以上の昔のことが思い出されて、なぜだかホッとするような感情がわいてきました。あのホッとしたような感情は何だったんだろうと自分自身でも良くわかりませんが、もしかしたら昔の自分を感じることができたような気がして懐しかったのかもしれません。

過去の徒然記 

nagasaki 山人 

(長崎 Jimnyやまもと)