私にこの山登れますか?

以前、穂高岳山荘の先代のご主人がテレビの取材を受けたときにこんなことを言っておられました。

穂高と言う山はね、それなりに厳しい山だからあんまり軽く考えて来て欲しくはないんだよね。地元の山でしっかり力を付けて技術も磨いて情報を集めて来て欲しいですよね。時々登山者の方から電話などで聞かれることがあるんだけど、『穂高に行きたいんですが自分にも登れるでしょうか?』と。それに私はこう答えます。『あなたの事を私は何も知りません。どれだけの山の経験があるのか、安全に対する意識は技術はどうなのか、だから答えることはできません。自分が登りたい山に安全に登れるかどうかを自分自身で判断できない人には穂高に来てほしくないですね。』と。」

その通りですよね。昔はともかく、今は様々な山の情報がネットにもメディアにも溢れています。自分の力量をわかっている登山者なら、目指す山に今の自分が登れるかどうかなんてわかるはずです。たくさんある情報を正しく見る目があればの話ですが。

私自身も登りたい山があるときは今の自分の力量と山の難易度を見て登れるかどうかを判断し登ってきました。想定外の場合や悪天候などの山のコンデションによっては、途中で敗退することもありました。(ん?これはどうかな?)と迷ったり不安になったときは引き返せばいいのです。迷ったときに突っ込んでしまうと後戻りできない窮地に陥ってしまいますので、引き返すタイミングの判断が最も大事です。

自分の力ではどうかな?と判断に迷うような山(ルート)の場合、どうしても行きたい所だったら私はプロのガイドさんにお願いして同行してもらいました。ガイドさんにもいろいろな人がいますので、本物のガイドさんを見極めることも大事です。

いいガイドさんに巡り合えれば、行きたい山(ルート)に行くこともできますし、それ以上にガイドさんの判断力、登攀技術、安全に対する意識など貴重な経験を通じて学ぶことができます。

沢登りが好きな私の場合は、黒部の中でも難易度の高い沢に行くときは日本の沢登りの世界の第一人者とも言える志水哲也さんと言う人に何度かガイドしていただきました。九州の沢では経験できない黒部の水量での遡行は得難い経験となりました。

話がそれましたが、自分はこの山に登れるのか登れないのか?と言う判断ができる登山者になる事、その意識を忘れずに普段の山登りに向かう事が大事だと思います。それは近所の低山ハイクの時でも同じです。この低山にはどんな危険が潜んでいるのか?自分はそれをきちんと見極めて安全な登山ができるのか?そんな意識を忘れないことが大事だと思います。

(私に〇〇山は登れるでしょうか?)・・・そんな質問を会ったこともない山小屋のご主人に聞くような登山者にはわが会のメンバーにはなって欲しくないものだと思わずにはいれません。

過去の徒然記 

nagasaki 山人 

(長崎 Jimnyやまもと)